現場発泡系の断熱材といえば、アイシネン・硬質ウレタン・アクアフォーム・フォームライトSL・ソフティセルONE・MOCOフォーム 等が挙げられます。
建物の形状に合わせて施工できる追従性と、すき間なく充填できる高い気密性が認められ、従来の繊維系やボード系に代わって近年伸びている断熱材です。
いずれの断熱材も現場で吹き付けて施工します。従来のボード系や硬質系の断熱材だと、建物の構造や柱に合わせて断熱材の形状を変えることができないため、気密性の維持が難しいのですが、現場発泡系であればすき間にも吹き付けて簡単に充填できるので、断熱欠損を防ぐことができます。
アイシネンと他の現場発泡系断熱材との違い
他の現場発泡系断熱材も、アイシネンと同様に現場で吹き付ける工法を採用していますが、材料の性質と気泡構造が全く異なります。
硬質ウレタンは独立した気泡構造で、空気より熱伝導率の良い気体を使用しているので、熱伝導率は0.018~0.024W/m・k程度になります。それ以外の断熱材は連続した気泡構造で、空気を利用して断熱しているので、熱伝導率は0.033~0.038W/m・k程度になります。アイシネンもこれらと同様に、熱伝導率は0.038W/m・k程度となります。
アクアフォームやMOCOフォーム・硬質ウレタンは、硬い材料のため建物の動きに追従出来ず、すき間が空いて気密を維持できなくなることがあります。また、100%独立した気泡構造ではないので、時間が経つと内部が空気に置き換わり、断熱性能が低下することがあります。
また、硬質ウレタン以外の現場発泡系断熱材は、気泡構造の違いによって空気透過量が非常に多いため、現場での見た目は気密が確保されているように見えても、素材自体が空気を通してしまうので、気密・断熱性能も劣ります。
アイシネンは特殊な連続気泡構造により、空気透過抵抗は非常に高いものの、水蒸気透過抵抗は低く、自ら呼吸する材料と言えます。
空気透過量の比較
ここでは断熱性能の基準となる空気透過量を比較してみます。
125Pa/25mm | 75Pa/25mm | |
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アイシネン | 0.03㍑/m2・s | 0.018㍑/m2・s |
フォームライトSL | 8.5㍑/m2・s | 5.1㍑/m2・s |
アクアフォーム | 3.0㍑/m2・s | 1.8㍑/m2・s |
日本における気密度の規格として、日本工業規格JIS A4706があり、A-4等級で4.16㍑/m2・s@75Pa、北米では0.02㍑/m2・s@75Pa以下と規定されています。
参考数値
合板9mm 0.0067㍑/m2・s@75Pa
石膏ボード12.5mm 0.02㍑/m2・s@75Pa
(いずれの材料も上記の北米基準を満たしていますが、継目からの漏気のため、全面に使用しても高気密住宅とはなりません)
断熱性能と水分の関係
断熱性能を長期に渡って維持するために重要な、水分に対する挙動を見てみましょう。
断熱材の内部に水分が含まれていると、断熱材に接触する木材が腐食したり、金属が錆びることも考えられます。また、湿気によるカビの発生原因にもなります。断熱材によっては、加水分解により変形・収縮する可能性もあります。
断熱材の比較 着色した水に浮かべた場合
左がアイシネン、右は毛細管現象を起こしている他社品
断熱材の比較 水から取出して数日後
左がアイシネン、右は他社品で、保水状態が長いため、加水分解により変形・収縮を起こしている
ご覧のとおり、断熱材が毛細管現象により吸水しています。水分が重力に逆らって上昇しているので、水を排出(乾燥)するのにかなりの時間が必要となります。
断熱材の内部で水蒸気吸着が起きると、水蒸気が内部で液体の水になります。断熱材の含水率が上がると、断熱性能は低下します。
他の現場発泡系断熱材は、アイシネンより空気の透過性は高く、水蒸気の透過性は低いようです。これは断熱材の内部に水蒸気を蓄積するということです。水蒸気が水分に変化すると、前途の通り断熱材に接触する木材が腐食したり、金属が錆びることも考えられ、湿気によるカビの発生原因にもなります。
硬質ウレタンは素材自体の空気透過量は少ないため、気密性能は良いのですが、水蒸気透過がほとんどないために、界面で結露が発生したり、木材を腐らせたりする事があります。
雨漏り等の水分も浸入しにくいのですが、長期間水分に触れると、加水分解により変形・収縮を起こす事があります。硬質ウレタン断熱材はRC造によく使用されますが、完成初期にコンクリートから放出される水分は非常に多いので、水分の影響が心配されます。
アイシネンは特殊連続気泡構造によって、素材自体が疎水性を持ち、空気の透過量が極めて少ないため、断熱材の内部に水蒸気を吸着させる事はありません。また、素材の密度が低いため、熱橋となる樹脂の量も少ないのです。
シックハウス症候群の原因となるVOC(揮発性有機化合物)の比較
家族全員が健康に過ごせる住宅のためにも、シックハウス対策は欠かせません。シックハウス症候群の原因となるVOCとは、揮発性有機化合物を省略した呼称です。シックハウス対策として、VOCが一切使われていない建材や断熱材を選ぶことが重要です。
現場発泡系断熱材によっては脆弱性(もろさ)があるので、爪などで擦りますと細かな粉がかなり発生します。この粉末は反応時に架橋しない小さな分子か、反応に寄与しない助剤(添加物)の可能性があります。これでは、寸法安定性や初期性能の持続に疑問があります。
アイシネンでは生涯保証書を発行できるほどの素材の安定性があるので、表面を擦っても粉末の発生はありません。
また、現場発泡系断熱材によっては、火をつけると溶ける現象が見られます。これは何らかの有機溶剤が使用されていることによって生じる現象だと思われます。燃焼時の臭いから、アミン触媒を使用していることも考えられます。
有機溶剤やアミン触媒はVOC(揮発性有機化合物)であり、室内の空気を汚染してシックハウス症候群の原因となる可能性があります。製品によっては、VOCに関するデータを公開していないものもあり、シックハウスや空気の汚染が心配されます。
一部の製品はホームページで半永久との表現がありますが、保証はしていないようです。アイシネンは製品に対する自信があるため、生涯保証書を発行できるのです。