住宅の「結露」は発生する場所によって、「表面結露」と「内部結露」の2種類に分けられます。壁の表面に発生する結露は「表面結露」に分類され、住宅内の湿った空気が冷えた壁に付着し、水滴となって現れることが原因です。北側に面した壁や押入は外気の影響を受けやすく、壁の断熱が不十分だと結露が発生しやすくなります。
結露は放っておくとカビやダニの発生源となり、ぜんそくやアレルギーの原因となります。また、内装材が剥がれたり、柱が腐食するなど、建物にダメージを与えます。結露対策としては、結露の原因となる水分を排出するための換気と、壁表面の温度を下げないための断熱処理が必要になります。
どうして結露するの? 結露発生の仕組み
コップに冷たい水を入れると、コップの外側には水滴が付きます。これが「結露」です。住宅内で窓ガラスに水滴が付いたり、北側の壁や押入が湿ったりするのは、結露が原因です。
さて、結露発生の仕組みを理解するためには、1m³の空気に含まれる水蒸気の量を表す「飽和水蒸気量」を知ることが大切です。
温度が高い空気は湿気を多く含むことができますが、空気が冷えるに従って、空気に含める湿気が少なくなります。1m³の空気に含まれる水蒸気の量を飽和水蒸気量と言いますが、その量は温度が10度下がるごとに約2分の1になります。
暖かい空気が冷たい窓や壁に触れることで空気の温度が下がり、飽和水蒸気量を超える分が水滴に戻って結露が発生します。通常は温度が低い冬場に結露しやすくなりますが、空気に含まれる水蒸気が少なければ結露は起こりません。ですから、結露の原因となる湿気を排出するための換気は重要になります。
結露が大好き アレルギーやぜんそくの原因となるダニやカビ
ダニやカビは気温25~35度、湿度75%以上の環境を好みます。ダニやカビはこれまで高温多湿な夏場に発生することが多かったのですが、最近の住宅は断熱性が向上し、暖房によって室内の温度が下がらなくなったので、年間を通してダニやカビが発生するようになりました。
結露は放っておくとカビやダニの発生源となり、ダニの死骸やフン、カビの胞子がアレルゲンとなって、ぜんそくやアレルギーを引き起こします。
結露は建物にダメージを与えるだけでなく、家族の健康にも大きな影響を及ぼします。結露を防ぐためには、壁表面の温度を下げないようにする断熱処理が必要になります。
壁の結露対策 壁の断熱
壁の断熱で重要なポイントは、断熱材を適切な厚みで施工することと、床や天井の取り付け部分に気流止めを作り、壁内部の空気の流れを止めることです。また、金具や配管、配線周りをきちんと断熱して、熱橋を作らないことも大切です。
断熱リフォームの際は、壁の内装工事に合わせて内部に断熱材を施工します。壁内部の断熱材によって、外気や壁内部を通じた熱損失を抑えるとともに、壁表面の温度が下がりにくくなるので、表面結露の防止にも効果があります。